2014年3月1日、新潟県石打丸山スキー場で開催されたPeanut Butter and Rail JamのJapan Roundには、北は秋田、南は熊本まで日本全国のジブマニア、ビデオスターからトップアマまで総勢106名がエントリー。コンテストはこれまでにない”下剋上”が繰り広げられた。
当日は霧雨が舞っているのか微妙な曇り空。首都圏からの高速道路がウルトラ大渋滞するというハプニングに始まり、何人かがエントリー時間を過ぎても会場入りできないという事態が発生し、早くも波乱の予感が漂っていた。
SNOWCASE DESIGNがプロデュースするネクストレベルのセクションが石打丸山に出現した。
スタートから右には2本のシングルラウンドレールが並行に設置され、その先に1本のシングルレールが置かれているという、トリッキー&リスキーなアイテム。
中央には禁断のコンクリートをボックストップに置き、さらにステアレールを付けた完全ストリート仕様のレッジ。
左にはUS Championshipsで使われていセクションをイメージして6m x 3本の極太パイプをダウンフラットダウンで組み合わせた、ガイジンサイズのセクション。inもoutもどこからでも可能で、トリッキーに見せるかBIGにいくかはあなた次第。
3つのセクションをすべてメイクしていかないとスコアが出ないという厳しいジャッジングでコンテストは進んでいく。メインジャッジはVOLCOM SNOW TEAMの浜直哉、FREERUN編集長A2Cと雪番長ディレクターのCKが直哉の横で目を光らせている。
各クラスの優勝者はアメリカのマンモスで開催されるChampionships出場権&エアチケットをGETできるとあって、「この石打で勝つことがゴールではなく、真のチャンピオンを日本から生み出すべく、日本予選からレベルを上げていこう」という意図が参加者に伝わったのかどうか、ライダー達は果敢に攻め込んでいるようだった。
そんな本気の戦いを横目に、本部テントは無料のドリンクやスナック、恒例のピーナツバター&ジャム付け放題のパン、地元食材をふんだんに使った上田の郷特製のおにぎり&けんちん汁でギャラリーや参加者の空腹を満たせていた。
会場内をふらつくStonemanも、時折コンクリートレッジを擦りに行くというハードコアなのかファニーなのか、めまぐるしい展開でコンテストは進んでいく。
UNDER 15クラスは、PBRJ特有のハードコアなセクションと長距離ハイクアップに覚悟を決めた、スーパーキッズらが参戦。もはやクラス分けが必要ないくらいのレベルの高さを見せつけ、ギャラリーが沈黙するほどのスキルを出している。
しかしメイクするのは当たり前! PBRJでは3つのセクションすべて、という条件をクリアしつつ、しかも創造性と個性あふれる「スタイル」を見せることが求められているのだ!! 長距離ハイクは標高2000mクラスのマンモスでも必要となるので、泣きそうになってる場合ではない!!
その中でも、やはり本大会の厳しさを知る飛田流輝が貫録を見せていた。米野舜士の落ち着いたスピンアウトや板さばきも尋常じゃないレベルに達していたし、ジャンプのスキルも持つ國武大晃のガッツも将来が期待される。しかし、VOLCOM特製金メダルを手にしたのは、同日開催のハーフパイプのコンテストをキャンセルしてジブでアメリカを目指した流輝だった。
ガールズクラスもまた、男サイズのセクションと長距離ハイクに苦戦している模様だったのは否めない。前年優勝の松田麻衣子も予選で敗退する展開になり、また室内ゲレンデで滑る子が目立っている事実にも驚かされた。常連組の中でもすでにコロラド州キーストーン大会で優勝し本戦の切符を手にしている佐藤夏生が群を抜いていた。ここ日本でも優勝し2冠となり、マンモス往復券をゲット! 2位に入った佐久間成美に出場権が繰り下がり、なんと自費での参加を表明! アツい想いが通じるのを期待したいところだ。
大注目のメンズクラスでは、関功や高尾翔馬、戸田真人、上村好太郎といったPBRJ過去の優勝者やムービースターがファイナルまでたどり着けないという大波乱・大番狂わせが各ヒートで連発していた。やはり3つすべてのセクションをやっつけるという条件がキーになっていたのだ。コンクリートレッジでStoneyなスタイルのNollie Nose Tap Nose PressでElectric Best Trick賞をGETした吉年佑馬さえもセミファイナルで姿を消していた。他のアイテムをKillしていればファイナル進出していた、というのが事実……
さっきまでの重たい空に太陽の光が差してきた! そんな中、ファイナルでひとり気を吐いていたのが壁田竜一。同じようにスケートスタイルを雪の上に持ち込む中村貴之との一騎打ちかに見えたが、伏兵ともいえる熊田一貴が軽快にセクションを殺していた。ジャッジを大いに悩ませ、最終結果を集計しているときにポイントが同率になり、1位が2人に……各セクションのポイントをカウントバックした結果、わずかな差で熊田一貴が金メダルを獲得することになった!
表彰式では、春から会社員となることが決まっていた熊田一貴は「もしかしたらアメリカに行けないかも」などと言っていたものの、素晴らしい上司に恵まれたのか、後日会社から特例のお許しが出たようだった。UNDER 15優勝の飛田流輝、GIRLS優勝の佐藤夏生、そして繰り上げ出場となった佐久間成美とともに、今月19日に開催されるマンモスマウンテンでのChampionshipsで暴れてくれることを期待したい!
参加してくれたみなさん、また来年もアツいバトルお願いします。ギャラリーも年々増えてくれて、雰囲気を最高にしてくれているのでスタッフ一同感謝してます。イベント終了後のプロダクトトス目当てでもいいので遊びに来てくださいね!
MENS OPENクラス入賞者 ※写真右より
金メダル:熊田一貴、銀メダル:中村貴之、銅メダル:七ツ役政秀、4位:壁田竜一
GIRLSクラス入賞者 ※写真右より
金メダル:佐藤夏生、銀メダル:佐久間成美、銅メダル:和田ちひろ、4位:畠山絵美
UNDER 15クラス入賞者 ※写真左より
金メダル:飛田流輝、銀メダル:米野舜士、銅メダル:國武大晃、4位:鈴木淳宏
Electric Best Trick賞 吉年佑馬
Photos : Akira Onozuka
Special Thanks : 石打丸山スキー場、SNOW CASE DESIGN、Electric Visual、Nixon、Stance、